「そよそよ」は、管理人の杏が書いたオリジナル恋愛小説のサイトです。
大人の内容を多分に含みますので、18歳以上の方のみご覧ください。
詳しくはABOUTをご覧ください。
あの方は、今宵もおいでにならない……。 女は几帳に囲まれた暗い室内で、長い髪を数本口の端に噛みながら悔しそうに顔を歪める。……
やがて新年を迎えた。 朔日は皆で新年を祝い、それはそれはにぎやかだった。仲睦まじい惇長夫婦と正妻である珠子が懐妊中であるこ……
麻理子には絶対に言えないと思いながら、栞は引っ越しの手伝いを仙崎にさせていた。とても少ない荷物だから必要ないとどれだけ断……
「あの男はどうしてるの?」 「あの男?」 栞は自分のアパートの部屋に、麻理子を招き入れていた。というより、麻理子が押しかけて……
「ああ、増田さん。貴女の社員証は総支配人が昨日拾ってくださったそうです。業務終了後に取りに来てくださいと伝言がありますよ……
バスが停まった。乗客が次々と降りていく中、栞も定期券を運転手に見せて降りた。観光地の駅前通りにあるこのバス停は、降りる客……
話は今の代へ戻る。 それから数日が過ぎて、年の瀬も迫った夕暮れのひととき、かさねは一人局の中で過ごしていた。紅梅の君は恋人……
我が娘が男児を孕むように。 憎いあの女を不幸に突き落としたい。 今度の除目で上国の国司になりたい。 唸るほどの財宝が欲しい。 あ……
かさねが見ている前で彰親が吹き飛び、外で生い茂っている木々の中に突っ込んだ。バキバキと木が折れる音がして、かさねは悲鳴を……
「実は、躬恒を王にした直後、かさねはその場で倒れてしまい、気がついたら数日後の朝だった。誰も側に居らず、一体どうやって自……