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それから数日が経った。躬恒からは何の連絡もない。なんとなく空気が荒れている気配がする。かさねの使った力で躬恒が妖の王にな……
蜜月とも言うべき日々を送っていたかさねと躬恒は、ある秋の朝、二人の人間が山へ入ってきたのを探知した。いつもなら里の人間が……
「ねえねえ。どうだった?」 翌日、早速、かさねの局にやってきた紅梅の君が、目を輝かせながら聞いてきた。 かさねは裁縫道具の箱……
「かさね、気づきましたか?」 彰親の声に、自分はいつの間に寝ていたのかと思いながら目を開けたかさねは、とても間近に彰親の顔……
「なかなか炙り出せないものですね」 彰親は、降り続ける雪を御簾内から眺めながら、ふうとため息をついた。 しつこく監視する嫌な……
かさねが桜花殿に入った頃に初雪があり、屋敷の庭が風情のある美しい化粧をしたと思ったのは、7日ほど前の話だ。最初は何もかも……
彰親がようやく唱えるのを止めた。 しばらく二人はそのままだった。 静寂を破ったのはかさねだ。 「私じゃない私が……出てました」……
紅葉が深くなる頃、楓の子供はだいぶ大きくなり、最近は頻繁にひっくり返ってうつぶせになるようになった。すぐに頭が重くなって……
中宮のお住まいになっている弘徽殿に赴いた彰親は、女房の一人に御簾内に招き入れられた。侍従という通り名で、彰親より二つばか……
二人の幼い若君と姫君が遊んでいる。棒切れを持って庭に字とも絵とも取れないものを書き、石を置いている。 何ともなしに御簾越し……