眠っているフレディからそっと離れると、雅明は部屋に備え付けてあるバスルームに入り、シャワーを浴びた。真冬のバスルームは冷……
やっと理想的なアパートを見つけたフレディは、雅明を誘った。二人はいつまでも一緒だと言った日から、ちょうど一年が過ぎようと……
フレディは薄暗い路地裏に連れ込まれて、突き飛ばされた。烏の目通りと呼ばれているこの辺一体は、治安が良くなく真っ当な人間は……
アンネは、ホテルの部屋でボディーガード達に護られながら、乳児を抱いていた。雅明そのものの乳児の顔立ちに、アンネは溺愛とし……
腕の中で甘い声で泣く恋人に、パウルは愛おしさを込めて愛撫する。すっかり体力が落ちている雅明の為に激しい事はしていない。そ……
トビアスから、雅明の弟の貴明が電話を受けた時、日本では深夜の11時だった。 雅明が館を飛び出して、再びアレクサンデルに誘拐……
石川雅明(アウグスト・ヨーゼフ・フォン・シュレーゲル) 25歳 闇の組織『黒の剣』のメンバー。 フレディ・ミッドガルド 30歳 雅……
埃やくもの巣だらけの空き家の中で、雅明は相棒のフレディと頭目であるトビアスの指示を待っていた。二人が潜んでいるボロ家から……
「あ……く……っ」 その白い顔を赤く染めて、雅明はアレクサンデルが与えてくる快感に耐えていた。ベッドに腰掛けた彼の膝の上に……
それから一週間が過ぎたが、雅明は相変わらずアレクサンデルの館の一角にとらわれている。ボスのトビアスからはなんのアクション……
それから二週間ばかり、雅明はフレディと一緒の部屋で生活していた。雅明が嫌がってもフレディは片時も離れずに、絶えず雅明の身……
若い男性と、数人の男達に連れられて、雅明とフレディは豪華な館の部屋に入れられた。その瞬間にフレディが正気に戻ったかのよう……
「アウグストは、君に劣等感を持っている」 トビアスはテーブルを挟んで貴明と向かい合ってソファに座ると、言った。リカルドは窓……
『私を忘れたくなるような恋愛はしないで欲しいね。私はいつだって、どこだって、永遠にお前の中に居たいんだから……』 もうすぐ……
またかと思いながら、フレディはペットボトルの水を窓の外の庭に捨てた。運ばれてきた昼食も恐らく駄目だろう。ビニール袋に投げ……
恋人の目が虹色に染まるのを見て、フレディはひどく興奮してベッドに押し倒し、その白い首筋に顔を埋めた。背中を抱きしめてくる……
枯れたと思っていたはずの涙が止まらない。でもその涙は愛するものへの哀惜の雫ではなく屈辱の炎だった。 「あ……くぅっ……」 熱……
高野は元気をすっかり失ってうなだれているフレディを抱きかかえて廊下を歩き、屋敷の隅にあるフレディの部屋へ連れて帰った。吐……
雅明の一周忌はあっという間に過ぎてしまった。 昨日までは法要で屋敷中が慌しかったが、終わった今日はいつものように穏やかな朝……
その晩、フレディは痛む腹や鳩尾を撫でながらパソコンに向かっていた。専門の人間でないとわからない文字列を目で追いながら、キ……
翌日、フレディはぐっすりと眠り込んでいる高野の腕の中で目覚めた。高野の腕はやわらかな枕と一緒に沈んでいたが、とても固く引……
仕事中にこんな事を思うのは不謹慎だが、退屈だとフレディは欠伸をかみ殺した。上司の貴明はそんなフレディに背を向けて、将棋に……
藍の着物を着させられたフレディは、貴明の宿泊する部屋で完全に酒気に飲み込まれていた。ずらりと並べられた酒瓶に、陽気に酒を……
目隠しをされて視界は真っ暗で何も見えない。 車に乗せられて数時間が過ぎていると思われたが、まだ目的地には着かないようだ。フ……
「二日経ったけど動きは無いな」 社長室で貴明が書類にペンを走らせながら言った。高野は少し離れた自分の机で顔を上げる。 「ええ……
鍵が閉まる音がしてフレディは息をついた。監禁される事はわかっていたのでこれくらいで落胆はしない。 ずっと攻める側だった為わ……
甘いりんごの味も、ぶっ掛けられた泥水の味もきちんとわかっていたし、暖かで美しい布の手触りや、厩舎の鼻が曲がるような臭いも……
「商売女だった母親が乳飲み子を世話するのを嫌がって、あてつけに父の館の厩舎に捨てたんだそうだ。父親は認知しない、義母は毛……
『髪の毛を三回引っ張った時は、計画実行間近の合図だ』 季節はずれの雷雨が暴れ、木造の別荘は暴風でみしみしと軋んでいた。困っ……
再び戻ったフレディの部屋は相変わらずの暴風雨で、ガラスを叩く雨音が喧しいほどだ。イヴィハイトによって落とされたブレーカー……
「ねえねえ、お熱い中悪いんだけどお知らせがはいりますよー」 「手短に言え」 ぐしゃぐしゃに乱れたベッドの上で、フレディはトビ……
午後十時を回った頃、ようやく狂宴は終わりを告げ、フレディは責め苦から開放された。深く眠っているフレディの身体を丁寧に洗っ……
これと似たような場面を見た記憶があった。そう、雅明を自分のものにしていたパウルから雅明を奪還する時、同じように雅明が背後……
凍りつくように冷たい。 息が出来なくて、苦しい。 抱きしめられているから苦しいのではなく、この氷の様な世界に居るから苦しいの……
佐藤邸の裏庭にある梅が花を咲かせる季節になった。 数日前医者から許可がやっと下りて、表面上では高野もフレディも何事もなかっ……
「おまけに新田が佐藤グループの筆頭秘書を務める高野湊の弟を男娼に使っている事を貴方は知った。高野の耳に入れば当然社長の佐……