びけいこわい 第05話

 怖いことに千川は俺の腰からベルトを抜き取り、俺の両手首を万歳させたままベッドヘッドに括りつけやがった。

 冗談ではないのは千川のコワイ目を見てればわかる。こいつは本気で俺に穴を掘る気だ!

 制服のシャツの前ボタンがぶちぶちと外されていく。

 肌着なんて着てねえから、そのまんま何もかもがあらわになって……。

「ひっ! 何をしやがるてめえ……あ!」

 飛び出てもいない俺の乳首に吸い付いて、歯で噛みつきやがった。地味に痛い! 俺のそれは食いもんじゃねえよぉ!

「やだ……やだっ……、やめろっておまえ、しゃれにならねえから!」

 れろれろ舐めて吸われ、乳出せと言わんばかりに歯噛みされる。女だったらあんあん言うのかもしれないけど、男の俺は言わねえからな。この間はどうかしてたんだ。だから……!

「うわあっ!」

「もっと色気のある声出してよ」

「うっせ! お、お前相手に出してたまるもんか!」

 怖すぎて涙がどわーっと出てくる。だって、また千川が俺の大事な息子を勝手に握ってやがるんだから! 止めろそれだけは。この間みたいなのはもう嫌なんだ!

 それなのに千川は嬉しそうに笑いやがった。

「ああ……本当に薫の泣き顔って可愛いなあ」

 やっぱりこいつ変態だ──────っっ!!!!!!

 しかし、逃げようにも前回のネクタイと同じく手首を縛られてるし、さらにベッドに固定までされていて、腹の上には乗りあげられてるし、身動きがまったくとれない。ぎゃあぎゃあ叫んでも家には誰もいないから、誰も来てくれない。きっとこいつのことだから、響がガセだって気づいてこっちに来ようとしても、来れないようになんかしたに決まってる。

 八方塞りじゃんかよ!

 誰か俺を助けてくれよまじでっ!

 怖くて焦って必死にもがいている俺に、恍惚とした笑みを浮かべる変態は、また俺の貴重な唇に吸い付きやがった。つくづく吸い付くのが好きな変態だ。俺の何回か目のファーストキスはまた、奴に奪われた。

 ファーストキスは、さくらちゃんが良かったのにい!

「んんう……っ……ふ、う」

 唇が割られて舌が入り込み、同時に乳首が嫌って程抓られた。

「うううっ!」

 痛いから呻いた声は、千川の口の中に消える。飲み下せない唾液が溢れて、口の横に流れていく。千川はずっと乳首を嬲り続けキスを止めない。

 困ったことに、この間みたいに甘くうずき始めた俺の身体。

 やめろって、これは確実に変態行為だ!

 感じてしまったら変態の仲間入りなんだよおっ!

「……はああっ」

 やったら長げえキスが終わったかと思うと、また千川は乳首をちゅうちゅう吸いだしやがる。出ねえよ何も。

「ああぁ……んっ!」

 いや、出てる。俺が発したくもないよがり声が……!

「もっと声、出して」

 千川は唾液にまみれて真っ赤に染まった俺の乳首を、人差し指と親指でいやらしくこね回す。もう片方も同じようにされて、じんじんする。もう痛いだけじゃなくて……気持ちよくて! 信じられんけど、俺の息子は元気になっていく。

「乳首だけでいけそう?」

「ば、俺は女じゃねえっ」

「女だよ。だって気持ちいいんだろ?」

 怖い美貌で千川は笑い、また乳首をちゅうちゅう吸いだし始めた。

 出ないって俺の声しか!

「はぅん……、ん、ん、……あ、違う違う……」

 じゅるじゅると吸われ、片方を意地悪く抓まれて、腰がとろけそうに甘くしびれて、俺がおかしくなる。

 得体のしれない快感が行き場を求めてるけど、両手首が逃してくれない。ここに留まって、千川の変態行為に歓べって言うんだ。

「ああそうだった」

 千川は唐突に乳首から唇を離した。

 いきなり途切れた快感を残念に思った俺。でもそれは一瞬で、ほっとする。だけどそれは本当に一瞬だった。千川は自分のネクタイを解いて、それでよりにもよって俺の息子の根元をきつく縛りやがったんだ!

 堰き止められて痛い。

「何……すんだよ!」

「だって、これからドライでイってもらうし」

「ドライって……なんだよ」

「この薫の可愛い奴でイカずに、後ろでイってもらうの」

「な……!」

 まんま女じゃねえかよっ。

「やだ、やだ! 離せってこの変態がっ。つーか解け!」

「だあめ。だって、せっかく捕まえたんだからね。ふっふふ」

 美形怖いーーーーーーーーーーっ!

 千川は今度は女にするみたいに胸を揉みながら乳首に吸い付く。散々嬲られているそこは、赤く腫れてきていた。奴の指が触れてだけで、電気が走ったみたいに甘く痺れてしまう。

「うぅ…………、あう、やだ、……せんか、わ、俺、ああっ!」

 ちゅううって強く吸われる乳首、今度は優しく撫でる指。じいんとして、せきとめられているあそこがたまらなく疼く。

 甘い疼き?

「あ、……ああっ…ああっ!」 

 違う。甘くなんかない。

 痛いんだ。

 だけど、それが気持ちよくて……。

「イケよ」

 千川の冷酷な声と一緒に、強く捻られる両乳首。俺の身体は千川のマリオネットになったみたいに、びくんびくんと飛び跳ねて、俺は射精もなしに達した。

 絶頂の余韻でぶるぶると身体を震わせる俺を、千川は休ませるつもりはないらしく、また乳首を吸い出し始める。今度は俺の固くてぎちぎちになった息子をさすってやがる。

 行き場のない愉悦がぐるぐると俺の中で出口を求めてるけど、よがり声を出すしか方法がない。

「はあっ、は……、あ、んんんっ……やだ。お願い、かいほー……して。あ、痛いよ!」

 相変わらずぼろぼろ泣きながら訴える俺。でも千川は鬼だった。

「だあめ。悪い子の薫にはあと二回ドライでイってもらうからね」

「やだああっ!」

 子供みたいに首をふるふる振る俺に、千川はキュンキュンしまくっているらしく、にたにた笑いながら夢中で俺の息子を擦りまくる。

「俺、悪くないっ。……から!」

「じゃあ、誓える? 僕が薫の彼氏だって」

 嫌だそれだけは! 俺は変態じゃない。

 くっと唇をかみしめる俺に、だから駄目なんだよねと嬉しそうに言う千川。こいつはマジで鬼だ!

「く……っ!」

 ぬるりと、俺の息子を温かくてやわらかな粘膜が包む。千川が俺のをフェラしはじめたんだ。

「ああ!」

 双球をいやらしく撫でまわして、竿から先端へ舌を滑らしたり、小さな穴を下でつついたりする千川。にじみ出ているカウパーをおいしいねと啜る。ギッチギチになっているのにイけない。出さしてもらえない。

「ううううううっ!」

 ダメ押しのごとく、後ろの穴に指を突っ込まれた。やっぱりこいつは俺に穴を掘る気だ。

 快感が消え去って痛い。

 だけど、千川は絶妙なタイミングで、俺の息子をしゃぶり、じゅうじゅうと吸い上げながら、穴を探る。

 探る、そう、何かを奴は探している。

 何もねえって!

 そう思ったのに、奴の爪の先が何かにひっかかって、俺の身体は飛び跳ねた。

「みーつけた」

 びくびくしている俺の息子から唇を離して、ニンマリ笑った千川は、俺の穴から指をひき抜くと、自分のズボンのポケットから軟膏のチューブを取り出した。

 涙でぼやけながらの視界でも、そのピンク色のチューブは異様に見えた。

「な、なんだよそれ……」

「なんだと思う?」

 千川はチューブのキャップを外して、こともあろうにそれを俺の穴に突っ込んだ。そして……。

 ぶちゅうううううっ。

 中身を全部入れやがった。

 入れ終わるとチューブを取り出してキャップを閉め、千川は再び俺の穴をいじり始めた。

 なんだよ。なんだよ、ただの潤滑油って感じじゃなかった。

 不安でたまらない俺は、しきりに千川になんだよと聞いたけど、千川はじきにわかるとにやにや笑うだけで、ぬるぬると嫌な感じがする俺の穴を指でぐりぐりと擦る。

 その間も俺の息子はじんじんするし、乳首は疼いてたまらない。

「……はあ………ん……っ」

 なんか熱くなってきた。

 変だ。

 手の指先も足の先も、痺れるような気がする。溶けかかったバターみたいな、あんな感じに身体じゅうが怠い。

 千川はそんな俺の様子を眺めながら、さっきの場所を強く指で擦った。

「あぁあああんっ」

 信じられない快感が腰やら息子やらに走った。一瞬でイってしまい、俺はまた身体をびくびくと震わせる。だけどさっきと違って千川が手を放しても、余韻が去ってくれない。むしろどんどんひどくなる。

 変なんだ。

 触ってほしくてたまらない。

 それなのに千川は俺の上から退き、俺の両手首を縛っているベルトを解いた。

「今日はここまでにしてあげる。可哀そうだしね」

「あ……」

 うそだろ。

 そんなのひどい!

 俺は、部屋を出ようとする千川の制服のシャツを掴んだ。

「なあに薫? イきたくないんでしょ?」

 そうだけど、そうだけど……。

 さっき引っ込んだ涙がまたぼろぼろ出てくる。

 千川はうれしそうにため息をついて、俺に深い口付けをした。

「本当に可愛いなあ……。ふふふ。じゃあ言ってごらんよ。千川要が俺の彼氏ですって」

「それは……」

「言わないなら終わり」

 ひどい。

 俺は千川を睨んだけど、上目遣いで睨んだ俺は可愛かったようで、千川の情欲を煽っただけだった。

 千川は、ベッドに腰かけて、俺を自分の膝に座らせ、大股開きをさせた。

「仕方ないから、言いたくなるまでつきあってあげるよ」

 そう言いながら、得体のしれないぬるぬるを俺の息子にまで塗り、擦り始めた。

「あうっ……あああああっああっ!」

「きーもちいいよねー。薫だけの特別製媚薬。僕のドラッグ狂いの友達に作ってもらったんだ」

 媚薬だあ!?

「いやだあっ、やだ、やだ、やだーっ」

「乳首赤くして、涙でぐっちゃぐちゃ、こんなにギンギンにさせていやだーっはないでしょ? もっとやってなんでしょ? 早く認めろよ。そうしたら僕のを突っ込んでやるからさ」

 奴のズボンごしにわかる、固く張りつめているものが。

 恐怖にしかならないはずのそれに、俺の穴はきゅうんと痺れた。

 これを突っ込まれたら、どれだけ気持ちいだろうか……。

 快感で小刻みに震える俺の耳を舐めて、千川は、悪魔のように囁いた。

「僕は、薫の彼氏だよね?」

 同時に、穴に入った指が感じるスポットをゴリゴリ擦った。

「うううううっ……───!!!!」

 有り得ない気持ちよさが一気に俺に襲い掛かり、俺じゃないもう一人の俺が屈服する。

 もう駄目だ我慢できない。

 しぶしぶ俺は頷いた。

「……うん」

 そしてまた、愛撫されてビクビクビクっとする俺。さらに追い詰めながら千川は舌なめずりした。

「はっきり言ってよ。じゃなきゃ放置するよ?」

 息子を力強く擦られる。俺の穴が千川を求めてぐにゅぐにゅ蠢く。

「ああっあああっ! 言うよ、言うからあっ。千川……、あぁ…かなめは……ん、んぅ……俺の、か、彼氏です」

 ……言ってしまった。

 くすくす千川は笑い、俺をベッドに寝かせた。そして自分の服を脱ぎ、涙目で見上げる俺に、見せつけるように自分の黒光りしている息子をぶらぶらさせた。

「このぶっとい奴を、薫に入れられるなんてうれしいな」

 ベッドに乗りあがって来て、千川は俺の穴をそれで突く。それだけで俺の穴はきゅうきゅうする。

「はう……っ。い、から、入れて!」

「んーもったいないなあ」

「はやくうっ!」

「こんなにエロい薫見られるなんて、貴重だなあ」

 そう言いながら、千川は俺を貫いた。

 最初からものすごい勢いで突かれまくる。媚薬のせいで気持ち良すぎてたまらない俺は、そんな千川に抱き着いて腰をくねらせまくった。

 だって気持ち良すぎるんだ。擦られれば擦られるほどたまらない。

 貪られるようなキスもいい。もっと蹂躙してくれたっていいんだ。ひどくされたい。

 だけど千川は素直になった俺に紳士的で、思ったように動く。正直物足りない。

 ずぶ、ずちゅ、ずちゅっ!

 いやらしい音がする。

 千川にしがみ付いて、夢中で奴の息子を穴で締め付ける俺は、普段の俺を知る人間が居たら驚愕する痴れ狂いぶりだろう。

「あっあっ……もっと! 千川……奥、乳首触って」

「いいよ。ふふ、見てよこの乳首。おいしそうなイチゴみたい。女の子だよね」

 乳首に唇を寄せて、優しく含んだかと思うと強く吸い上げられる。

 それだけで俺はまた達してしまった……。

「あーあ。薫ってばイきっぱなし。エロエロ星人だよねえ。かーわいいね」

「んん………あ、、せんか」

「要だよ」

 唇に指が入り、舌を撫でられる。

「か……なめ」

「何?」

「止まらないで、はげ…しくして」

 くっと千川は笑う。

「了解」

 いきなり千川は俺から出ていく。そしてさっきみたいに俺を膝に座らせながら、背後から俺を貫いた。

「あああっ!」

 手足をばたつかせる俺を、強く抱きしめる千川。

 はらりと息子を縛っていたネクタイが解かれた。

「あ……」

 解放感にほっとするのもつかの間。千川は先ほどとは打って変わって、ガンガン腰を突き上げて、俺の息子をもみくちゃに擦り始める。

「ああっ…ああっ……!」

「もっと声出して、エロいの」

「はああっ……ん。やだ……あ」

「薫の嫌だはやってだよね。かわいい」

 何度も可愛いと言いながら、千川は俺をずんずんと貫いて揺さぶる。結合部からあのヌルヌルがだらだらと出てきて、それが淫靡なねちゃねちゃになって、千川と俺の熱でまたいやらしく変化する。

 ぬちゅっぬちゅ…っ。

「ああ……。薫の中最高……。僕ももたないや……。一緒にイこうか?」

「んっ……ん!」

 わけのわからないまま返事をする俺。

 腰の動きに激しさが増す。

 男くさい部屋に、男だけの喘ぎ声と獣っぽい息遣いってどうなんだ。

 だけどだけど、気持ちがいい。

 もっとやってくれよ、要。

 千川は上り詰める前に、また黒光り息子を俺から引き抜いて、俺をベッドに仰向けにして貫く。そしてキスをしながら突き上げてきた。

 向かい合わせって恋人同士みたいじゃんか。

 泣きながら千川を見ると、切羽詰まった顔で千川は微かに笑った。

 ……あれ、ひょっとして……美形って………かわいいのか?

 そう思った俺は媚薬に毒されていたんだろう。

 びくんびくんびくん。

 千川が俺の中で弾けた。俺もやっと白濁を吐き出す。

 倒れこんでくる千川を抱きしめてしまう俺……。

 まだ千川は俺の中で息づいてる。

 あああ、やっちまったのに後悔がない。

 ……気持ちいい。

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