眠っているフレディからそっと離れると、雅明は部屋に備え付けてあるバスルームに入り、シャワーを浴びた。真冬のバスルームは冷……
やっと理想的なアパートを見つけたフレディは、雅明を誘った。二人はいつまでも一緒だと言った日から、ちょうど一年が過ぎようと……
フレディは薄暗い路地裏に連れ込まれて、突き飛ばされた。烏の目通りと呼ばれているこの辺一体は、治安が良くなく真っ当な人間は……
アンネは、ホテルの部屋でボディーガード達に護られながら、乳児を抱いていた。雅明そのものの乳児の顔立ちに、アンネは溺愛とし……
腕の中で甘い声で泣く恋人に、パウルは愛おしさを込めて愛撫する。すっかり体力が落ちている雅明の為に激しい事はしていない。そ……
終業時間五分前、壱夜は定時で帰る手はずを整えている。今日は平日で客もまばらだからそれは可能だろう。のんびりと自分の仕事を……
「お願い、お願い……手を……」 「手を?」 蒼人は名前を呼んでもらってうれしいのか至極ご機嫌そうに返事をする。壱夜はそれが気……
蒼人に続いてキッチンへ入ると、大きなテーブルに鍋がセッティングされていた。 「鱧(はも)ですか」 「よく知っているね? 関西に……
翌日、壱夜にとっては屈辱的な事に、素っ裸な上、男の腕の中で目覚めた。そしてさらに腹が立つ事に、男はとっくに目覚めていて自……
トビアスから、雅明の弟の貴明が電話を受けた時、日本では深夜の11時だった。 雅明が館を飛び出して、再びアレクサンデルに誘拐……
乳首をこりこりと親指と人差し指で捏ねられて、懸命にその疼きを我慢する。 奴は面白そうに、今度は摘んで引っ張った。 もうたまら……
怖い、怖すぎるだろこれ。 千川は犬ではなくて人間のはずだ。人間は飴やアイスぐらいしか舐めない。人の頬を舐めるなんて有り得な……
「うそだっ!」 叫びながら飛び起きた。 こんなふうに起きるのなんて、映画やドラマや漫画ぐらいしかありえないと思っていた。なの……
学校が火事になって燃えないだろうか。 もしくは今すぐ宇宙人が侵攻してきて、世界が大混乱に陥ってくれないだろうか。 学校行きた……
怖いことに千川は俺の腰からベルトを抜き取り、俺の両手首を万歳させたままベッドヘッドに括りつけやがった。 冗談ではないのは千……
とても息苦しい……。 目を開けたら、漫画みたいにやたらと綺麗な顔のドアップがあって、心臓の鼓動が一瞬おかしくなった。 身体じ……
ちゅ。 変な頬への刺激で俺は目覚めた。立てた奴は案の定千川だ。 「おはよう薫。素敵な朝だね」 お前だけな。 誰が男にホッペチュー……
平凡というのは特に悪い言葉ではないと思う。 なんでかというと、世の中非凡やアホだらけだと成り立たない。もっと深く突き詰めて……
「君さー、柳沢先輩の一体何なの?」 部室の掃除をしていた僕は、せっかく綺麗にした床にバケツの汚ねぇ水をぶちまけられられ、何……
激しく疲れた……。 僕はなんだか最近とっても疲れている。おかしいねえティーンの僕がなんでこんなによろよろしてんだろ。普通十……
ま~た来やがった。 「おい、僕をスルーするなんてどれだけ素晴らしい自分をアピールしてるんだよ?」 その言葉そのまんまお前に返……
なんか……寒いような気がする。なんだっけな。僕は異常に肌触りのいいシーツを触りながら目覚めた、んで、寝かされている場所に……
押し黙ってうつむいた僕の頬に、先輩の手が優しく添えられた。うおおおお、これ以上赤くなるのは勘弁してくれ僕の顔よっ。恥ずか……
ううう……尻が痛え……。 壱夜は涙ぐみながら歩いていた。繊細な顔だちの青年がそんな顔で歩いていたら、あらぬ誤解をされそうな……
真夏の太陽が照りつけ、車内はサウナのように暑い。壱夜は冷房を全開にしながら、まず車内の熱気を追い出すためにパワーウィンド……
壱夜は小野寺と渡辺という二人の強面の男に連行されるように、空港近くのホテルに入った。ほんの数十分前、北海道の千歳空港行き……
「あああっ! あァっ! あ、あ」 胎内に入れられたローターが震え、壱夜は腰をくねらせて背後から抱きしめる蒼人から逃れようともが……
壱夜は赤いスープが煮えている鍋を見下ろしていた。珍しく明るい笑顔で無気味なほどだ。作っているのはミネストローネで、トマト……
「おま……っ……飯の……水っ……何を入れやがった……っ」 「おや? 岩井の錠剤とは思わないんですか?」 「あれは……どっ……み……
うーんと蒼人が首を傾げた。その前で壱夜が蒼人の責め苦に悶えている。最初は円筒で肉棒をいじめるだけだったが、引き出しの中か……
翌日、壱夜は昼過ぎまで寝ていたところを岩井に起こされた。案の定腰はだるくて手足も力が入りにくい。舌はしびれて痛いし、ろれ……
ガンガンとドアを壊すような音が響く中、照久は風呂に入れてキレイにした壱夜に服を着せてやった。結局壱夜は最後まで後ろでイき……
「蒼人早く来ないかな~。来ないと壱夜の初主演のビデオを販売しちゃうぞーっと♪」 びちゃびちゃと壱夜を嬲る舌の水音の中で、遠……
壱夜は、両手首に手錠を填められ宙吊りにされた。幾度も射精させられたせいで身体に力は入らないし、前も後ろも媚薬を塗られまく……
「薔薇が……うぜえ」 壱夜は一般病棟に移ってから、毎日のように蒼人から贈られてくる色とりどりの薔薇の花に囲まれて、そのむせ……
壱夜が蒼人の前に飛び出したのと、付き添っていた岩井がはっとして振り向いたのはほぼ同時だった。組の襲撃かと思ったらしい岩井……
埃やくもの巣だらけの空き家の中で、雅明は相棒のフレディと頭目であるトビアスの指示を待っていた。二人が潜んでいるボロ家から……
「あ……く……っ」 その白い顔を赤く染めて、雅明はアレクサンデルが与えてくる快感に耐えていた。ベッドに腰掛けた彼の膝の上に……
それから一週間が過ぎたが、雅明は相変わらずアレクサンデルの館の一角にとらわれている。ボスのトビアスからはなんのアクション……
それから二週間ばかり、雅明はフレディと一緒の部屋で生活していた。雅明が嫌がってもフレディは片時も離れずに、絶えず雅明の身……
若い男性と、数人の男達に連れられて、雅明とフレディは豪華な館の部屋に入れられた。その瞬間にフレディが正気に戻ったかのよう……
『私を忘れたくなるような恋愛はしないで欲しいね。私はいつだって、どこだって、永遠にお前の中に居たいんだから……』 もうすぐ……
またかと思いながら、フレディはペットボトルの水を窓の外の庭に捨てた。運ばれてきた昼食も恐らく駄目だろう。ビニール袋に投げ……
恋人の目が虹色に染まるのを見て、フレディはひどく興奮してベッドに押し倒し、その白い首筋に顔を埋めた。背中を抱きしめてくる……
枯れたと思っていたはずの涙が止まらない。でもその涙は愛するものへの哀惜の雫ではなく屈辱の炎だった。 「あ……くぅっ……」 熱……
高野は元気をすっかり失ってうなだれているフレディを抱きかかえて廊下を歩き、屋敷の隅にあるフレディの部屋へ連れて帰った。吐……
その晩、フレディは痛む腹や鳩尾を撫でながらパソコンに向かっていた。専門の人間でないとわからない文字列を目で追いながら、キ……
翌日、フレディはぐっすりと眠り込んでいる高野の腕の中で目覚めた。高野の腕はやわらかな枕と一緒に沈んでいたが、とても固く引……
仕事中にこんな事を思うのは不謹慎だが、退屈だとフレディは欠伸をかみ殺した。上司の貴明はそんなフレディに背を向けて、将棋に……
藍の着物を着させられたフレディは、貴明の宿泊する部屋で完全に酒気に飲み込まれていた。ずらりと並べられた酒瓶に、陽気に酒を……
目隠しをされて視界は真っ暗で何も見えない。 車に乗せられて数時間が過ぎていると思われたが、まだ目的地には着かないようだ。フ……
「二日経ったけど動きは無いな」 社長室で貴明が書類にペンを走らせながら言った。高野は少し離れた自分の机で顔を上げる。 「ええ……
鍵が閉まる音がしてフレディは息をついた。監禁される事はわかっていたのでこれくらいで落胆はしない。 ずっと攻める側だった為わ……
甘いりんごの味も、ぶっ掛けられた泥水の味もきちんとわかっていたし、暖かで美しい布の手触りや、厩舎の鼻が曲がるような臭いも……
『髪の毛を三回引っ張った時は、計画実行間近の合図だ』 季節はずれの雷雨が暴れ、木造の別荘は暴風でみしみしと軋んでいた。困っ……
再び戻ったフレディの部屋は相変わらずの暴風雨で、ガラスを叩く雨音が喧しいほどだ。イヴィハイトによって落とされたブレーカー……
「ねえねえ、お熱い中悪いんだけどお知らせがはいりますよー」 「手短に言え」 ぐしゃぐしゃに乱れたベッドの上で、フレディはトビ……
午後十時を回った頃、ようやく狂宴は終わりを告げ、フレディは責め苦から開放された。深く眠っているフレディの身体を丁寧に洗っ……
これと似たような場面を見た記憶があった。そう、雅明を自分のものにしていたパウルから雅明を奪還する時、同じように雅明が背後……
凍りつくように冷たい。 息が出来なくて、苦しい。 抱きしめられているから苦しいのではなく、この氷の様な世界に居るから苦しいの……
佐藤邸の裏庭にある梅が花を咲かせる季節になった。 数日前医者から許可がやっと下りて、表面上では高野もフレディも何事もなかっ……
「おまけに新田が佐藤グループの筆頭秘書を務める高野湊の弟を男娼に使っている事を貴方は知った。高野の耳に入れば当然社長の佐……