【完結済 シリアス ダーク 女主人公 現代 ハッピーエンド 美形 ヒーローはバイ 三角関係 闇の組織 ドロドロ 男女恋愛が主体 溺愛 ヤンデレ】
愛する人は、いつも自分とは違う世界に住んでいる人。夫と死に別れて二人の子供を育てている恵美は、亡き恋人に心を捧げたまま一生を終えたいと思っていた。しかし、亡き恋人とそっくりな男が現れ、また、ゆかりの男性の兄に愛を告げられ、否応もなしに再び激情の世界へ引きずり込まれていく……。※ヒーロー、ヒロインと共に複数と関係を持ちます。また、ヒーローはバイで、男性同士の性描写がありますが、あくまで男女での恋愛が中心です。連載していた小説の改稿版です。
小山内恵美 29歳 恋人の圭吾と死別した後、小山内正人と結婚するが彼とも死別する。今は子供二人と佐藤邸に暮らしている。 石川雅……
昼食を作り終え、恵美は外で遊んでいる子供を呼んだ。 長女で小学生の美雪(みゆき)からはすぐに返事が返ってきたが、五歳の長男……
それから一週間ほど過ぎた日曜日、朝、恵美と子供たちがのんびり過ごしているところへ、雅明から電話がかかってきた。 「今日、貴……
正人のお墓に手を合わせる貴明を、恵美は申し訳ない気持ちで見ていた。 季節はずれの墓地に人影はなく、今にも雨が降りそうな湿気……
恵美は客間へ入った。子供たちがついて来たが、麻理子を不安にさせているようなので出て行ってもらう。 目覚めた麻理子は、ばつが……
佐藤邸で居候生活に慣れ始めた頃、とんでもない噂を恵美は耳にした。 それは佐藤邸へ来た時から流れていたらしいのだが、恵美は部……
眠れない恵美は、圭吾のスーツを胸に抱えてベンチに座り、ぼんやりとしていた。 いや、ぼんやりとしているふりをしていた。少しで……
それから数日、麻理子も貴明も雅明も部屋に来なかった。恵美は、結婚式の準備が忙しいのだろうと思い、特に気にしていなかった。……
恵美は、飛行機の中でひどい頭痛に耐えていた。飛んでいるのはもうギリシャの上空で、機内アナウンスが着陸に備えてベルトを締め……
異国の気に包まれて起きた恵美は、深く深呼吸した。 (そうだ……ギリシャにいるんだった) ベッドから降りて、室内スリッパを履い……
──ごめんね、正人。ごめん……私は。 ──いいよわかってる。だからそんな顔するな。俺はお前の事ならなんだってわかってるんだ……
夕闇の中を、途切れることなく走っている車が、歩道を歩いている二人をライトで次々照らしていく。あんなにいた観光客は別の地区……
次の日の朝、恵美は雅明の腕の中で目覚めた。カーテンの色が浮き上がって明るい。今日もいい天気になりそうだ。 目の前で雅明がす……
ひとしきり泣いて恵美は圭吾を見上げた。 「どうして今まで姿を隠してたの? ひどいわ」 子供のように拗ねる恵美に、圭吾は申し訳な……
関係者以外立ち入り禁止というプレートが下がっている廊下へ、奏は眠った恵美を横抱きにしてずんずんと進んでいく。後ろからアネ……
眠っている恵美の隣で朝六時ぴったりに、雅明は佐藤グループ独自の通信を開始した。通話だと盗聴されるためだ。この通信は、管轄……
ギリシャからドイツまで飛行機を使い、シュレーゲルへ戻る車の中で、雅明は氷のような表情を崩さなかった。 身体中で自分を拒絶す……
午後をだいぶ回った頃、恵美たちはアテネへ帰ってきた。 たくさん居る観光客、ずっと車が途絶えない道路、排気ガス、それでも神話……
「圭吾は捨て子だったと言っていました」 奏は頷いた 「ええ……、実際母が捨てたようなものです。だいぶ経ってから兄を探し出して……
シュレーゲルという地名は、三百年ほど前からこの地を支配した、貴族の名に由来する。 三方を山、残る一方を大河という天然の要塞……
夕闇に染まりゆくシュレーゲルの館の庭で、雅明は過去を思い出していた。 ドイツ語を話せず、誰も知らない人間の中にいきなり放り……
ソルヴェイは日本人とドイツ人のハーフで、ずっと日本で住んでいたが昨年母親が亡くなったので、父親のいるドイツへ引き取られた……
そうして十一年の歳月が過ぎた。 今日も大きなアルブレヒトの館の中の自分の部屋で、雅明は熱心に絵を描いていた。 大学へ入って初……
ソルヴェイと結ばれた翌日の昼、雅明が彼女との結婚の許可をもらうためにアルブレヒトの部屋へ行くと、エリザベートが来ていた。……
翌朝、アルブレヒトは、雅明の部屋で置き手紙を握りしめた。 ” 愚かな孫をお許しください ” 部屋の中のものは、ほとんど持ち出され……
フランスの絵画展を終えた雅明を待っていたのは、ディートリヒ邸の人々の冷たい視線だった。 「おかえりなさいませ」 「……ただい……
ぐいぐいと己の慾を押し込み、細い腰を腕で固く抱きこんで揺さぶると、女は嬌声をあげて自分にしがみ付いてくる。柔らかな肌は吸……
雅明はアルブレヒトに遠慮して館には帰らずに、シュレーゲルから100キロほど離れた街に、小さなアパートを借りて一人で生活を……
「居たぞ! あそこだっ」 拠点にしていたあばら家で情報機器の後片付けをしていた雅明と、組織のメンバー数人は、その声を聞くなり……
夏の暑い日だった。 雅明は自分のぼろアパートで、絵を描いていた。 この数年で闇の組織の重要な仕事をまかされるようになり、今で……
エリザベートと食事をした翌日、朝から激しい雨が降った。雅明は仕事があるという少年を車で自宅の近くまで送ってやり、そのまま……
月日は流れ、雅明は二十九歳になっていた。 アンネがたまたま館を開けた夜、雅明はトビアスに呼びに出されて、ベッドを共にしてい……
飛行機で睡眠薬を飲まされて眠らされ、目覚めた時には、恵美は見知らぬ部屋に居た。薬が切れたばかりで動けない恵美は、首だけ何……
夕日が家々の屋根へ沈もうとしている。 混雑する道を避けて奏が車を走らせているので、奏のマンションへ帰るのではなければ、穏や……
眠れないまま、恵美は朝を迎えた。 時計は五時半を指している。眠るのを諦めて、恵美はベッドから起き上がって着替え、顔を洗った……
佐藤邸へ戻った恵美はすぐに暫く住んでいた部屋へ通され、ベッドへ横たえられた。切られた足首を雅明が消毒して、手馴れた手つき……
美雪と穂高は恵美の姿を目にした途端、それぞれ持っていたものを放り出し、思い切りしがみついてきた。 「お母様っ!」 「おかあさ……
病気も治り、ただの居候をしているのはかなり心苦しいので、恵美はなんでもいいから仕事をしたいと貴明と麻理子に言った。 「仕事……
そんなことがあった翌日、ソルヴェイが一人で恵美の部屋へやってきた。その目は遠慮気味ではあるものの、雅明について話したがっ……
それから数日が過ぎた。 麻理子にソルヴェイとは関わるなと言われたものの、向こうからやってくるのを避けるのは難しかった。恵美……
「まったく、いい加減にしてほしいな。早くあの女を追い出せ」 貴明が刺々しく、窓際に持たれて煙草をふかしている雅明に言う。 部……
翌日、アネモネがやって来た。 「メグミ元気? マリコもおはようございます」 「おはようアネモネさん」 麻理子はアネモネに丁寧に返……
深夜、貴明は眠っているところを、麻理子に起こされた。 「……誰だ?」 「ソルヴェイさんです」 「…………」 差し出された受話器を……
自分の身体が腐っていく感覚とは、こういうのを言うのだなと、恵美は突き上げを受けながら感じる。 そして、心底望まない交わりと……
奏が仕事を終えて実家へ帰ると、亜梨沙が出迎えた。 「おかえりなさいませ」 「ただいま池谷さん。今日はどうでしたか?」 奏の質問……
時は半月以上を遡る。 雅明の様子を見に来たソルヴェイは、想像以上の仕上がりぶりに狂喜していた。 「よくやったわ、フリッツ、ア……
多人数の足音が近づいてくる。今度は猿轡を施された夫妻がおびえる番だった。 雅明は拳銃をアネモネに手渡して、夫妻に振り返った……
そして現在に時は戻る。 「おい、これ飲めるか?」 雅明がシロップ剤に水を混ぜた物が入っている吸い飲みを差し出すが、意識が朦朧……
「恵美様、奥様がご一緒に外出をと申されております。お着替えください」 いつものお茶の稽古の後、亜梨沙にそう言われ、恵美はあ……
振り向いた奏の目には、恐ろしく清らかで穏やかな光が宿っていた。 「恵美」 「はい」 恵美が返事をすると、奏はスーツのポケットか……
「……これが頼まれごとなの?」 唇が離されて恵美が聞くと、雅明は唇の端をあげて微笑した。 「抱いてはいけない人を抱いてしまっ……
春休み。 結ばれた雅明と恵美、そして子供たちは佐藤邸の人々に惜しまれながら、田舎の古い家へ戻ってきた。子供たちは家を恋しく……
驚きの後、恵美の心に生じたのは疑惑だった。 今頃になって実の両親について話しに来るなど、作り話も良いところだと追い払うべき……
老年の男性はリヒャルトと名乗り、青年はフィリップと名乗った。フィリップは車の部品を作る工場を、ドイツで経営しているらしい……
鉛のように重苦しい雲が垂れ込めているせいで、すっきりしない。 恵美はそっとため息をついた。 あれからすぐに恵美達は日本を立ち……
タクシーを呼び、恵美達はリヒャルトの館へ行った。シュレーゲルの館から三キロほど東にあるその館はこじんまりとしていたが、そ……
シュレーゲルの館では、貴明がまだ寒いというのにテラスのベンチに腰掛けていた。エリザベートがそんな貴明にお茶を持って来た。……