天使のマスカレイド

【完結済 御曹司 同棲 美形 一途 青春 借金 ハッピーエンド 闇金融 いじめ ご飯 家族】
結城千歳はとある事情で御曹司の世話をする羽目に。その御曹司は出来の良すぎる弟に継ぐはずだった会社を奪われて家を飛び出し、都心から遠く離れた地方都市のおんぼろアパートで一人暮らしをしていた。拒絶する御曹司を千歳は必死に世話をするのだが……。とにかく一途な千歳と、冷たく見えるけど不器用なだけで実はとても優しい御曹司のお話。 注意:心因性失声症の記述が出てきますがあくまでもイメージです。読み物としてご覧ください。またHACCPに関しましても情報が古いのを承知して書いております。ご了承ください。

天使のマスカレイド 登場人物

結城千歳 25歳 手ひどい失恋をし、シビアに生きる普通の女性。 佐藤(石川)将貴 29歳 佐藤グループの御曹司。 佐藤佑太 27歳 佐藤

天使のマスカレイド 第01話

冷房がいささか効き過ぎているスーパーから出た千歳を、夏特有のむわりとした熱気が押し包んだ。入れ替わりに部活帰りの男子学生

天使のマスカレイド 第02話

結城千歳(ゆうきちとせ)は、高校卒業と同時に地方から東京近郷の食品工場へ就職した。地元を離れたのは東京への華やかさに憧れ

天使のマスカレイド 第03話

「ああ、面接して断られた所に、そういうセクハラする馬鹿建設会社があったね。大気建設だったっけ? 下ネタがんがん飛ばされても

天使のマスカレイド 第04話

「聞いてる?」 記憶の回廊をさ迷っていた千歳は、佑太の探るような声ではっと現実に戻った。多分この佑太という男にはわかってい

天使のマスカレイド 第05話

「じゃあ仕事の説明をするよ。まず搬入口。次は倉庫、計量室、野菜室、加熱室、ミックス室、盛り付け室、米飯室、事務所、そして

天使のマスカレイド 第06話

一週間が過ぎた。 夏なのに分厚いタイツとセーターを着込み、白い作業着を上に着る。そんな千歳を見て、横で着替えていた惣菜室の

天使のマスカレイド 第07話

社食のラーメンセットをトレイに載せて、千歳は休憩室に沢山並べられた机でも一番隅っこにある机を選んで座った。まだ親しく食べ

天使のマスカレイド 第08話

将貴は千歳達にすぐ気付き、靴を脱いで畳に上がりまっすぐ歩いてきた。さっき福沢が言っていた意味がわかった。確かに将貴はどん

天使のマスカレイド 第09話

外は相変わらずうだるように暑かった。アパートから一番近い田舎の駅から電車で一時間ほど揺られ、千歳はパンツスーツ姿で市街地

天使のマスカレイド 第10話

「たっだいまー……っと」 帰宅し玄関のドアを開けると、将貴の靴があったので千歳は口を噤んだ。 将貴は確かにご飯を食べるように

天使のマスカレイド 第11話

恐ろしい暑さの加熱室で千歳は煮込みの作業をしていた。先週まで冷蔵庫と冷凍庫という極寒地獄に居たのに、今度は灼熱地獄だ。惣

天使のマスカレイド 第12話

それから千歳はさまざまな部署へ入った。そして今日は現場で一番最後だという弁当のラインに入っている。10メートルほどあるベ

天使のマスカレイド 第13話

鈴木は闇金融の中でもとびきりたちの悪いところからお金を借りていた。破産宣告をしたら殺すと脅され、自分の貯金から支払おうと

天使のマスカレイド 第14話

「今日は大変だったな」 「皆さんにご迷惑をお掛けしました」 千歳は隣で運転している福沢に頭を下げた。渋滞する国道の交差点も、

天使のマスカレイド 第15話

キャベツをざくざくと切り、かつおぶしで煮出しただし汁に油揚げと共に入れる。忘れていた塩わかめを冷蔵庫から取り出してボール

天使のマスカレイド 第16話

新幹線に揺られながら、千歳は窓から流れていく景色を眺めていた。隣にはサングラスをして深く帽子を被った将貴が眠っている。 あ

天使のマスカレイド 第17話

「取りあえずそちらのベッドへ」 「あの、いいのですか?」 「構いません」 千歳は柳田が将貴を運ぶのを手伝った。将貴の身体はかな

天使のマスカレイド 第18話

翌朝、目覚めた将貴が起き上がろうとしてふらつき、床に倒れた音でソファで寝ていた千歳は跳ね起きた。 「将貴さん大丈夫ですか!

天使のマスカレイド 第19話

「で、でも、それだとあのお二人は結婚式があげられないままで……」 『家へは戻らないけど結婚式は出るよ。それでいいだろう』 「

天使のマスカレイド 第20話

将貴が離れて身体が開放されると、千歳は深呼吸をした。今頃になって身体が震えてくるのが困る。 「……いつから話せる様に?」 「

天使のマスカレイド 第21話

事務所の仕事は精神力がガリガリと削られるというのは、福沢の誇張ではなく本当だった。広い工場での作業や人が行きかうビルの中

天使のマスカレイド 第22話

事務所での将貴の評判は、仕事はできるけど何もかも謎な人……だった。一緒に暮らしてキスまでした千歳ですらそうなのだから、あ

天使のマスカレイド 第23話

『千歳……』 初めて聞く甘い声に千歳は自分に覆い被さっている将貴を見上げた。ああ緑色の目だ。将貴もきっと自分以上に興奮して

天使のマスカレイド 第24話

もんもんとしながら自転車を漕いでアパートに戻った千歳は、玄関の靴を脱ぐ場所に女物の靴を発見して驚いた。リビングの方から明

天使のマスカレイド 第25話

美術館を出ると、福沢の車は高速に入った。なるべくアパートへ帰りたくない千歳は遠出は大歓迎だったが、一体どこへ向かっている

天使のマスカレイド 第26話

わずかな金属音を立てて部屋へ福沢が入ってきたのは、それから40分ほど経ってからだった。ソファで寝ている千歳を見つけて抱き

天使のマスカレイド 第27話

将貴が大金持ちの家の御曹司であるのは千歳だってわかっていた。それでも都心部から外れているとはいえ、固定資産税が馬鹿高そう

天使のマスカレイド 第28話

将貴が千歳を後ろに下がらせ様子を伺った。自分の家なのにいちいち鍵をかけるのは変だが、他の従業員達と一緒に暮らしているのな

天使のマスカレイド 第29話

夕食会が行われる部屋はとても大きな食堂だった。よくある会社の社員食堂ではなく、やはり西洋の雰囲気が多分に漂う白を貴重とし

天使のマスカレイド 第30話

「慶佑(けいすけ)って言うんです」 「すっごく社長に似てますね」 「そう思いますか?」 千歳は子供が大好きだ。美留が生まれてま

天使のマスカレイド 第31話

どうして今頃連絡を取ってきたのか。千歳の貯金を全部返すという愁傷な真似を、たかしがするとはとても思えない。千歳はどん底生

天使のマスカレイド 第32話

「帰って来いったら帰って来い! 妻の癖に言う事聞けないのかっ」 「何それだっさ! 夫の命令第一だなんて今時犬でも言わないわよ」

天使のマスカレイド 第33話

品質管理の社員はパートを混ぜて6名いた。初めてその部屋へ入った千歳を、主任の高瀬という男性の社員が紹介してくれた。 「今日

天使のマスカレイド 第34話

どうやってここを嗅ぎつけたのだろう。薄気味悪いと思いながら千歳は身体を硬くした。たかしは一人ではなく車からもう一人の男が

天使のマスカレイド 第35話

翌朝、将貴は部屋におらず、キッチンへ行ってみても居たのは朝食を作っている朝子だけだった。朝子は千歳に気づいて振り向き、に

天使のマスカレイド 第36話

その日は山本のシフトが休みだったので、千歳は赤塚とストレスなく仕事が出来た。食中毒のクレームもないので、たかしは約束を守

天使のマスカレイド 第37話

「きゃあっ」 俯いて歩いていた千歳は保冷庫を出た通路の角で、コンテナを持って運んでいた将貴に気付かずにぶつかり、見事に床に

天使のマスカレイド 第38話

「このままでは貴女の評判は落ちるばかり。あの御曹司も庇い立てはできないでしょう? 手遅れになる前に辞めた方がいい」 「山本さ

天使のマスカレイド 第39話

それから数週間が過ぎて年末になった。将貴の配慮のおかげで、千歳は幾分かは仕事がやりやすくなった。赤塚と全く同じシフトに将

天使のマスカレイド 第40話

赤塚のフォローのおかげでなんとか仕事をこなしている千歳は、なんとか今日も無事に仕事を終えた。明日は給料日だ。いつもはうき

天使のマスカレイド 第41話

城崎はちっとも慌てずのんびりとしている。 「佐藤グループの御曹司の佐藤将貴君。高校の同期の久しぶりの再会なのにいきなりそれ

天使のマスカレイド 第42話

千歳はアパートへ連れて帰られた後、自分の布団で泥のように眠った。夢など見ないと思っていたのに次から次へといろんな顔が出て

天使のマスカレイド 第43話

眼に入った光景に千歳は目を奪われた。一面に広がるのは美しい花畑で、七色に輝いていているそれは、水晶の粒を花びらに載せた美

天使のマスカレイド 第44話

夜に入ったばかりの佐藤邸はにぎやかだった。メイドや従業員達はまだ仕事をしていて照明は明るく、ひっそりとしているのは佐藤の

天使のマスカレイド 第45話

少し離れて買い物しようとした千歳の目論見は将貴にはとっくにお見通しで、余計に引っ付かれる羽目になった。従って目立つカップ

天使のマスカレイド 第46話

翌日、千歳は相変わらず自分を無視する山本に挨拶をしてからパソコンを立ち上げた。顔を上げて山本をちらりと見てから何か違和感

天使のマスカレイド 第47話

結局山本は壁にぶつけたと言い張り、誰も本当の事がわからないまま彼女は定時で退社していった。思えば彼女は家の事情もあるが残

天使のマスカレイド 第48話

翌日、山本を見舞った千歳を出迎えたのは二人の姉妹の笑い声だった。個室に入っている親子三人は久しぶりの親子水入らずの時を過

天使のマスカレイド 第49話

アパートに帰った千歳はキッチンでお茶を入れながら思案に沈んでいた。どちらかというと困惑に近いものがあるがこの場合は思案の

天使のマスカレイド 第50話

二時間ほど経った頃、将貴の声がした。 「ほらほら、真っ暗な部屋で何をやってるのかな? ごちそう作ったから早く食べようよ」 将貴

天使のマスカレイド 第51話

将貴と千歳はシフトを調整して休みを同時に取り、千歳の家へ挨拶に行く事になった。総務の仕事をしているおかげで事情を知ってい

天使のマスカレイド 第52話

ほぼ一年ぶりの故郷だった。将貴が運転するクラウンに乗り、見慣れた町並みが見えてくるに従って、千歳は懐かしさとともにその優

天使のマスカレイド 第53話

その後、男女別にご飯を食べて、千歳は美好とあかりの三人でゲームをしたりして盛り上がった。もっとも妊娠中のあかりは眠りづわ

天使のマスカレイド 第54話

それから一週間ほど経った頃、比較的に貴明の容態が落ち着いているという事で、千歳の両親と千歳は、将貴の運転するクラウンで東

天使のマスカレイド 第55話

夕食をメイドが運んできてくれた頃、将貴がその気配で目覚めて天蓋のカーテンを開けた。配膳を手伝っていた千歳は、将貴に振り向

天使のマスカレイド 第56話

「離して!」 美留が佑太の腕を振り払い、びっくりしている将貴と千歳の方へ後ずさった。嫋やかな美留の恐ろしく冷たい雰囲気に、

天使のマスカレイド 第57話

結婚式当日は生憎の空模様で雲がどんよりと厚く垂れこめていた。おまけに雪が散らついている。天気予報は午後から晴れ間が覗くと

天使のマスカレイド 第58話

式は厳かに執り行われ無事に終わった。その後の大広間での会食は、厨房チーフの池山が期待してくださいと言っただけあって、すば

天使のマスカレイド 第59話

「佑太、……お前が先だ」 「なんでしょう?」 やっぱり俺が先だろうというふうに佑太がチラリと将貴を見た。 「人目が有る所で喧嘩