アイリーンと美獣 第11話

「おま……っ……飯の……水っ……何を入れやがった……っ」
「おや? 岩井の錠剤とは思わないんですか?」
「あれは……どっ……み……ちが……ああっ」

 首筋に吸い付く蒼人の唇が熱い。シャツを左右に開かれ肌が露出し、尖りきっている乳首を蒼人に吸われて舐められ、てらてらと唾液で光っている。ちゅっちゅっと吸い付かれる音と、チクチク刺さる蒼人の髪の刺激がさらに身体の奥を熱くさせた。

「いいっ……ああああ!」

 ぷっくり膨らんだ乳首を甘咬みされながら、片方を強く引っ張られた後ぐりぐりおしつぶされ、壱夜の小柄な身体が椅子の中で飛び跳ねた。身体の中心から下腹部に痒みに似た快楽が走り抜けていく。

 それでも蒼人は、壱夜のズボンの中ではちきれんばかりになっている肉棒を触ってはくれない。触ってくれたのは最初に押さえた時だけで、今は乳首ばかりを攻めてくる。

「ふふ、そんなに腰を揺すって催促しても、今日はそう簡単に触ってあげませんよ。あんなゲテモノを私に食べさせようとした罰です。散々泣かせて後悔させてあげます」
「……んなっ! あああぁあんっ」
「ああ可愛い。あのミネラルウォーターをあっさり飲むなんて……。ふふふ」

 どうやら冷蔵庫の飲み物は、ひとつひとつが油断がならないものらしい。今頃死ぬほど後悔してもなにもかも遅い。身体中を巡っている悦楽の毒は開放されたいとしか訴えないし、してくれそうな相手は嬲るだけ嬲ってやるというケダモノだ。

 薄い胸の谷間を、蒼人の唾液と一緒に壱夜の汗も流れていく。

「ひきょうもんめ……っ」
「いつまでその憎まれ口が叩けるでしょうねえ……?」

 唾液でぬるぬるになった両乳首を、蒼人の指にきゅっと摘まれ引っ張られた。
 
「うああああっ」
 
  痛み以上の気持ちよさで、壱夜は口から唾液を流して背中を反り返らせた。

「本当に貴方の声はいい。ゾクゾクする」

 ぽつんと突き立っている乳首を少しざらついている舌に何度も舐められた。かと思えば何か美味しい味でもにじみ出ているのか、赤子が吸い付くようにじゅるじゅると強く吸い付かれる。甘く噛まれると甘美な痛みで腰全体がむず痒くなった。

「あんっあんっ……やだっ……あ!」
「貴方の乳首は気持ちよさそうですよ」

 またぐりぐり押しつぶされて、壱夜の身体は細かく震えだした。身体が自由なら何かにしがみつけるのに、両手は椅子の肘掛け両足首は椅子の足に括りつけられて快感を逃しようがない。結局狂ったように身体を悶えさせるしかなく、壱夜は嗜虐趣味の蒼人を喜ばせてしまっているのだった。

(ああもうっ。手足解けよ! この変態野郎、そんなに俺が苦しいのが楽しいのかよっ! 楽しんだろうけどさああああっ……)

 身体中が汗でぬめり、濡れてシャツもズボンもべったりと肌に貼りついて気持ちが悪い。いや違う。その貼り付いた衣服さえも、自分の肌を撫で回すような快感を引き起こすのが辛い。

「あ、蒼人ぉ……」

 涙目で蒼人を見た途端、ぐいと顎を掴まれ唇を奪われた。

「ん……んぐ」

 身体中を駆け巡っている淫らな液体が、キスでせき止められたと錯覚したのも一瞬の事で、舌を絡めとられゆっくりと優しく撫でられ、甘いキスが加わったせいで余計に身体が我慢できない快感で満たされていく。さらに唾液をどろりと流し込まれ、嫌なのに息苦しさからごくりと飲み下してしまった……。」

 執拗なキスが息苦しくなってきた頃、ようやく蒼人がベルトのバックルをはずし、ズボンのファスナーを下ろしてくれた。大きな手が固くギンギンに固くなっている肉棒を掴みだして、容赦なく扱き出す。

「うぁっ……あああああああああっ……あんっ、あーっ、あああっ」

 叫び続ける壱夜の頬を舐めて、蒼人が陰湿に笑う。

「ふふふ……たまらないでしょうね。でも……今日は簡単にはいかせてあげませんよ。忘れていませんね?」

 つ……と裏筋を撫でられて爆発しそうになった肉棒を、蒼人の指が輪を作って根元から締め付けてしまった。吐き出されそうになっていた快楽は再びせき止められて、壱夜をいけない苦しみの嵐に放り込んでしまう。

「や……だっ…………、いかせてっ!!! あああああっ……お願いぃいいっ!!」

 身体中をくねらせて懇願する壱夜の願いは届かず、蒼人は自分のスラックスのポケットからハンカチを取り出し、それで壱夜の肉棒の根元を縛り上げた。薄暗い照明の下で淫らにあえぐ若い男の肢体が、堪らなく彼の雄を刺激し楽しませる。情欲に濡れた蒼人の目が舐めるように壱夜の身体を眺め、形のいい硬質の唇が満足気な息をついた。

「素晴らしいよ壱夜。縛られてよがる君はなんて綺麗なんだろう」

 蒼人の手のひらが、ぷんぷん淫らな気を発散させている壱夜の身体をいやらしく撫で回した。

「お願いっお願いっ……」
「んー……どうしましょうか。壱夜はすぐ私に反抗するから……、とびきりのおしおきをと考えていますし。まあ、少しぐらいご褒美をあげてもいいでしょうね。この椅子とセットでいい物をおまけにもらったんですよ」

 にんまり笑った蒼人は、椅子に取り付けられている小さな引き出しから円筒を取り出した。肌色のそれは一見大きなちくわのように見える。外はツルツルしているのに、内部は凸凹していてなんだか不気味な海洋生物のようだった。

「これはね、まあ、モテない男性が女性の代わりに見立てて、買っていくという代物じゃないかなと思うんですが……」

 長々と妙な説明を始めた蒼人は、同じく引き出しから取り出したジェルを円筒の内部にタップリと塗りつけた。塗りすぎのせいかジェルがぽたぽたと柔らかくカーペットの上に落ちてシミを作っていく。

 快楽で狂いそうになっている壱夜は、蒼人の説明などまったく聞いてはいなかった。ただ開放されたいとしか考えられなくて、腰をくねくねと揺すっておねだりを繰り返している。

「あ……おとぉ……っ」
「はいはい、いいですよ……存分に気持ちよくなりましょうね……くく」

 蒼人はその円筒をゆっくりと壱夜の肉棒の先端にあてがった。ぬるりとしたジェルのぬめりで壱夜はぎくりと身体を震わせる。

「ふふふ……たっぷり飲み込みましょう」
「……ふぁっ! ……ちがっ、……これ解け……て! やだ、やだ、……ぬるぬるするぅっ!!!」

 内部のでこぼこが、はちきれて固くなっている肉棒を柔らかく刺激した。その上ジェルのぬめりが、優しくマッサージしていくからたまらない。しかし吐き出したいものはハンカチで縛られて出せないのだ。

「なんだよぉ……これ……!」
「貴方へのご褒美ですよ。私は優しいご主人様ですから。さあ、これを上下に擦ったらもっと気持ちいいですよ」
「いいいいいっ……ひゃあああっ……あっあっあっ……んんんああああっ!」

 円筒を蒼人が早く抜き差しを始め、甘美な刺激が容赦なく下半身に溜まり始めた。出口を探し求めて流れつつけるそれは、苦痛な快楽だった。気持よすぎて頭がおかしくなる……。いきたい、いきたいのにいけない。許してくれない。

 ぼろぼろに泣いて壱夜が泣き叫んだ。

「許してっ……いか……いかせてぇ!」
「ふふ、可愛いですねえ……泣きながらおねだりですか?」

 べろりと蒼人が流れる涙を舐めた。壱夜を攻める手は緩まる事はなく、ますます加速していく。断続的に震えてよがる壱夜を余す事なく見つめながら、今度は放置されていた乳首を摘んで爪を立てた。

「ああああああああああ……っっ!!!!」
「すみません。壱夜へのご褒美に乳首を忘れていました」

 そんな事をされたら壱夜はたまらない、ついに快楽の限界に達して射精なしで昇天した。しかしそこで休ませてくれないのが蒼人で、円筒で壱夜の肉棒をそのまま扱き続け、乳首を指で嬲りながら舐めしゃぶりはじめた。おかげですぐに意識が元に戻り、壱夜はまた快楽の地獄に突き落とされてしまう。

「ああっ……もう許して、頼む……お願い!」
「お仕置きですからね」
「ああっああっあっあっ」

 口が閉じられなくなった口元を、蒼人に舐めて吸われる。心臓と肉棒が一体化して、ズックンズックンと振動しているのがわかる。熱くて甘くて痒みに似た快楽で、どこにも逃げ場がない。その時壱夜は、ふと足首に付けられている枷を思い出した。

(くそ……俺って結局……逃げられないわけ? やだ……よ)

 逃げられないと思う心までも官能の毒になり、甘くとろけて下半身をどろどろにしていく。

 悪魔が優しい声で囁いた。

「もっと啼きなさい可愛い壱夜。そうしたらきちんといかせてあげてもいいですよ、ふふふ……っ」

 蒼人がわずかに呼吸を乱れさせて、肩を上下させてもがいて喘ぐ壱夜に覆いかぶさった。今度は薄い胸を両方掴まれ揉み回されていく。壱夜は女でもないのに乳首や胸の愛撫に身体を熱くさせ、蒼人の望みどおりに啼き続けるのだった。

Posted by 斉藤杏奈